現代では、日本の成人男性の三分の一がAGAだと考えられています。しかしいったい人類はどれくらい昔からこの薄毛に悩んで治療を試み始めてきたのでしょうか。少し趣きを変えて、薄毛治療の歴史を振り返ってみましょう。
現代では、日本の成人男性の三分の一がAGAだと考えられています。しかしいったい人類はどれくらい昔からこの薄毛に悩んで治療を試み始めてきたのでしょうか。少し趣きを変えて、薄毛治療の歴史を振り返ってみましょう。
人類の歴史で最古の薄毛治療は現代から5000年前にさかのぼります。エジプト王国のチャタ王という人物が薄毛に悩んでおり、その当時に効果があるされた犬の掌、やしの実やロバの肉を薬として与えられていたとの記録があります。
「エーベルスパピルス」という世界最古の医学書があるのですが、こちらは紀元前1500年ごろの古代エジプトで書かれたもので、ここにはすでに薄毛治療の方法が記されています。その内容は、ライオンやカバ、ワニ、猫や蛇、ヤギなどの体内脂を混ぜあわせ、頭皮に塗りこむというものでした。今から3500年前から薄毛治療が存在していたとは想像しづらいですね。やはり時代が異なっていても人間の悩みは変わることがないようです。そして紀元前400年頃になると、「医学の父」と後世で評価されているヒポクラテスによって、薄毛を呪いなどの証拠がない類のものではなく、根拠がある病気として原因探求を行い、治療歩法を考えるなかで、なんと「宦官にはハゲと痛風が起きない」という現代で明らかにされているAGAや薄毛の根本原因に最も近づいていたのです。
しかし、薄毛治療の進歩はここで止まり、代わりにカツラの利用が貴族階級を中心に始まっていきます。例えば、古代エジプトでは埋葬の際にカツラが装飾品として含まれていたり、かの有名な古代ローマの英雄ジュリアス・シーザーも月桂冠で悩みの薄毛をできるだけ隠せることを喜んでいたと伝えられています。近代の例ですと、太陽王ルイ14世の父であるルイ13世がハゲを気にして隠すようになってからフランス貴族の間でカツラをかぶるのが正装になったとも言われています。