昔から髪にまつわるお話は世界中であります。特に髪にスポットの当たっているお話をご紹介いたします。
昔から髪にまつわるお話は世界中であります。特に髪にスポットの当たっているお話をご紹介いたします。
昔々、漁師の夫婦に念願かなって女の子が出来た。
しかしその女の子には髪の毛が一本も無かった。夫婦は大切に育てるが髪が生えないことが悩みだった。
ある年、村では不漁が続き、原因は海底からさす光ではないかと噂され始めた。
妻の渚は子供に髪が生えないのは前世の報いだろうと思い罪滅ぼしの為に海に入る。
無我夢中で渚が海底から持ち帰ったのは黄金仏であった。それからは大漁が続き村人からは感謝されたが渚は黄金仏を祀り毎日礼拝した。
ある夜、渚の夢に黄金仏があらわれ、娘の髪が生えない事を伝えると、
娘の頭からはみるみるうちに美しい髪が生えた。
年頃になる頃には身の丈よりも長い黒髪となり「髪長姫」と呼ばれるまでになった。
黒髪姫はたいそう髪を大事にし、抜けた髪ですら捨てることなく木の枝にかけていた。
ある日一羽のスズメが枝にかかった髪をくわえて飛び去った。
スズメは宮廷の軒先に巣を作りその黒く美しい髪が垂れ下がった巣を見て、帝はこれほど美しい髪の持ち主はさぞかし美しい娘であろうと、この髪の持ち主を探す為諸国に勅命を出した。
こうして宮廷に使えた髪長姫は当時の帝である文武天皇の妃となり子供をもうける。
その子供が聖武天皇だと言われている。
日本ではもう一つ髪長姫と訳されているラプンツェルというグリム童話もあります。
ある所に夫婦がいた。
長年子供がいなかったが念願叶い子供を授かる。しかし妊娠した妻は隣に住む魔女の庭のラプンツェルが食べたくてしかたなくなる。
食が細くなりやつれた妻の懇願に負けた夫はラプンツェルを摘みに庭へ忍び込むが魔女に見つかってしまう。
夫から事情を聞いた魔女は好きなだけ摘んでいってもいいが、子供が生まれたら渡せと約束させられる。
やがて生まれた女の子は即座に魔女に連れていかれ、ラプンツェルと名づけられ、森の中の入り口の無い塔に幽閉される。
魔女はラプンツェルの見事な長い髪をハシゴ代わりに窓から出入りしていた。
そんなある日美しい歌声に引かれてやってきた王子が塔を見つけラプンツェルと出会う。
魔女と同じ方法で塔に侵入した王子とラプンツェルは恋に落ちる。
その事実を知った魔女は激怒し、ラプンツェルの髪を切り落とし塔から追い出す。
何も知らずに塔へやって来た王子はその事実を知り絶望の中塔から身を投げて失明してしまう。
数年後、盲目のまま森をさまよっていた王子は双子の子供と暮すラプンツェルに出会う。
再会を喜ぶラプンツェルの涙が王子の目に落ち、王子の視力が回復する。
国に帰った王子たちはみんなで幸せに暮しましたとさ。